610 本テーマの理論的背景
◆背景理論は大切
本実験は電気回路の交流理論をその背景に置いている.
まず電気回路実験の簡単な説明を次にまとめた.
※電気回路の交流理論は古くからあるので,教科書もたくさんあり,Webコンテンツも多くある.
直流回路では回路の特性は素子の特性がシンプルに結びついている.
しかし交流回路では,一つ一つの電気素子の特性とそれらが組み合わさって生じる回路全体としての特性とでは,まったく異なる現象として現れる.
それを本実験でぜひ視覚的・感覚的に確かめてほしい.
とはいえ,背景理論を知らずに実験ばかりしても理解が進むものではない.
実験で起きる現象がなぜそうなるのか,理論も十分理解しておく必要がある.
◆電気素子
$ L, C, Rの電気素子についての基礎知識(Panasonicのページがわかりやすい)
抵抗
キャパシタンス
インダクタンス
◆素子値の測定
$ L, C, Rの値の測定方法について
抵抗
キャパシタンス
インダクタンス
LCRメータの原理
◆交流回路の特徴
交流回路を特徴づける概念を挙げておく.
周波数特性と過渡特性
時定数$ \tau の存在
共振現象:共振周波数$ f_0/角周波数$ \omega_0
$ Q値の存在,複数の$ Q算出式
一つの教科書では理解しにくい人は,webを検索して自分が理解しやすい記述のコンテンツを見つけるといいだろう.
ここではいくつかのリンクを例示しておく.
◎共振計算
https://gyazo.com/da8585d972f105b73b128f035f343ec5
↑↑ シンプルに共振周波数を計算できる.
◆交流理論の歴史
電気回路の交流理論は誰がいつ,まとめたのだろうか.
時は150年前,1880年代に遡る.
当時,すでに交流は電力伝送の一方式として注目されつつあり,アメリカではもう一つの直流伝送と激しくシェアを争っていた.
スタインメッツは日本ではあまり知られていないが,この理論の他にも100以上の特許,多数の論文,著作を残し,電気界(特に電力伝送業界)においてはまさに理論的歴史を築いた英傑だと言ってもいいだろう.
※ちなみに,エジソンは複雑な交流理論を理解できず,それが直流伝送に固執した理由だったとされる.
◆回路シミュレータ
回路理論とその振る舞いを見るには,数式とにらめっこするだけでなく,シミュレーションするのがよい.
シミュレータはいろいろあるがweb上によいページがある.
https://scrapbox.io/files/60701758178431001c2228ee.png
ざわざわシミュレータは全て回路と素子の値を入力することができるが,多くの回路のシミュレーションがすでに用意してある.
その中で本実験に関係する回路は以下の2つだろう.
ぜひ,理解の一助にしてほしい.
以上.